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東京地方裁判所 平成11年(ワ)25842号 判決

原告 一郡愛

右訴訟代理人弁護士 渡邉彰悟

同 鈴木雅子

被告 株式会社三和銀行

右代表者代表取締役 室町鐘緒

右訴訟代理人弁護士 小沢征行

同 秋山泰夫

同 香月裕爾

同 露木琢磨

同 小野孝明

同 安部智也

同 御子柴一彦

同 上野和哉

同 山崎篤士

同 平賀敏秋

主文

一  被告は、原告に対し、別紙物件目録一記載の土地につきなされた東京法務局中野出張所昭和六二年一二月二五日受付第四〇五六三号根抵当権設定登記を訴外一郡新の持分五〇分の四四に対する根抵当権設定登記とする更正登記手続をせよ。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

主文同旨

第二事案の概要

本件は、原告が、被告に対し、別紙物件目録一記載の土地(以下「本件土地」という。)における原告の五〇分の六の共有持分権に基づく妨害排除請求として、本件土地になされた東京法務局中野出張所昭和六二年一二月二五日受付第四〇五六三号根抵当権設定登記を訴外一郡新の持分五〇分の四四に対する根抵当権設定登記とする更正登記手続を求めた事案である。

一  争いのない事実

1  原告及び訴外一郡新(以下「訴外新」という。)は、昭和六二年一二月二五日当時、本件土地を共有(原告の持分は、五〇分の六であり、訴外新の持分は、持分五〇分の四四である。)していた。

2  被告は、本件土地につき、以下の内容の根抵当権設定登記(東京法務局中野出張所昭和六二年一二月二五日受付第四〇五六三号)を経由した。

(一) 極度額 金一億一〇〇〇万円

(二) 債権の範囲 銀行取引 手形債権 小切手債権

(三) 債務者 訴外日本プスネス株式会社(以下「訴外日本プスネス」という。)

(四) 根抵当権者 原告

二  争点

1  根抵当権設定契約の成否

(一) 被告の主張

(1)  被告は、昭和六二年一二月二五日、原告及び訴外新との間で、本件土地につき、以下の内容の根抵当権設定契約(以下「本件根抵当権設定契約」といい、これにより被告が設定を受けた根抵当権を「本件根抵当権」という。)を締結した。

<1> 極度額 金一億一〇〇〇万円

<2> 債権の範囲 銀行取引 手形債権 小切手債権

<3> 債務者 訴外日本プスネス

<4> 根抵当権者 原告

(2)  被告は、本件根抵当権設定契約に基づき、前記一、2の根抵当権設定登記を経由した。

(3)  被告は、訴外日本プスネスの経理担当部長から本件土地及び本件建物を担保として提供できるとの返答を受けたことから、右部長に対し、本件根抵当権設定契約の締結の必要書類を交付し、根抵当権設定者である原告、訴外新及び訴外正司の自署及び押印するように指示した。

そして、被告は、後日、右部長から、根抵当権設定者欄に原告、訴外新、訴外一郡正司(以下「訴外正司」という。)の各住所及び各氏名の記載があり、その名下に印影のある「根抵当権設定契約書」と題する書面を受領した後、訴外新に電話で、本件土地及び本件建物の担保提供の意思について確認し、さらに、同人から原告の担保提供の意思についても確認した。

(二) 原告の認否及び反論

(1)  前記(一)、(1) の事実は否認する。(2) 及び(3) の事実は知らない。なお、被告が訴外新から本件土地及び本件建物の担保提供の意思について確認した際、訴外新から原告の担保提供の意思についても確認したとしても、原告の意思確認としては何の意味もない。

(2)  前記契約書における根抵当権設定者欄の原告の住所及び氏名の記載並びに原告及び訴外新との間の子である訴外正司の住所及び氏名の記載は、いずれも訴外新の住所及び氏名の記載と同一人の筆跡によるものであるところ、原告の住所及び氏名の記載は、原告の自署によるものではなく、訴外新が原告に無断で記入したものである。

また、原告名下の印影は、原告の印章によるものであるが、これは、当時、訴外日本プスネスの代表取締役の地位にあった訴外新が原告の留守中に、原告に無断で原告の印章を持ち出し、これにより印鑑登録証明書を取得したうえ、原告の了承を得ることなく押印したものである。

すなわち、訴外新は、本件根抵当権設定契約締結当時、訴外日本プスネスの代表取締役の地位にあり、訴外会社が借り入れするにあたり物的保証を提供する必要があったところ、訴外新には、本件土地及び原告との間の子である訴外正司との共有建物である別紙物件目録二記載の建物(以下「本件建物」という。)しか有していなかった。

しかし、原告は、訴外日本プスネスと無関係であるため、本件土地を物的担保に供することを同意する見込みがなかったため、訴外新は、本件根抵当権設定契約の締結の際に被告と取り交わした契約書における原告の署名押印を原告に相談することなく、無断で行い、もって偽造したものである。

なお、原告は、仏壇の中の位牌の後ろの屏風の裏に右印章を保管していたところ、訴外新は、たまたま原告が印章を右場所に保管していることを知っていたことから、原告に無断で持ち出し、印鑑登録証明書をとったうえで、本件契約書の原告名下に押印し、元の場所に返還していたものである。

2  原告は、本件根抵当権設定契約について、追認したか。

(一) 被告の主張

仮に、本件根抵当権設定契約締結当時、原告が本件土地における原告の共有持分を担保に供することを承諾していなかったとしても、以下の各事情からすれば、事後的に、本件根抵当権設定について承諾した。

(1)  訴外日本プスネスの経営状態は、昭和六二年三月期に一時的に赤字を計上したものの、その後は、回復基調となっており、当時の借入金も延滞することなく全て順調に弁済されており、訴外日本プスネスの経営状態に何の不安もなかった。

(2)  ところが、訴外日本プスネスは、担保に供する物件を所有していなかったため、新たに融資を受けるにあたり、訴外日本プスネスの代表取締役であった訴外新が自宅の土地建物を担保に提供することとなったものである。

そして、訴外新及び訴外正司は、本件根抵当権設定契約締結当時、本件建物を共有(訴外新の持分は一〇分の九であり、訴外正司の持分は一〇分の一である。)していたところ、訴外新は、本件土地の共有者である妻の原告及び訴外正司に担保提供の協力を求めることとなった。

(3)  本件契約書においては、訴外正司も本件建物における持分について根抵当権設定者となっていたが、訴外正司は、平成四年一二月、訴外新が本件建物における訴外正司の共有持分に無断で根抵当権を設定したものであり、本件契約書における自己の署名押印部分が偽造であるとして、被告に対し、根抵当権設定登記の更正登記手続を求める訴え(東京地方裁判所平成四年(ワ)第二二一七七号事件)を提起した。

これに対して、訴外新は、訴外正司を相手として、本件建物の持分について所有権移転登記を求める訴えを提起した。

そして、右訴訟は、訴外新が訴外正司に対し、金一二〇万円を支払い、他方、訴外新は、訴外正司から本件建物の持分の移転登記手続を受けることとなり、右訴訟は、取下によりに終了した。

原告は、かかる経緯について認識していたはずであり、本件土地における原告の持分に根抵当権が設定されていることについても十分認識していたはずである。

(4)  訴外日本プスネスは、平成八年五月、会社更生手続開始の申立てをしたが、その頃から、訴外会社の事業管財人である訴外日立造船株式会社(以下「訴外日立造船」という。)は、訴外新との間で、訴外日立造船が本件土地及び本件建物を購入し、引き続き訴外新らに居住させることとし、一定の生活保障をすることを提案して、訴外新と交渉しており、訴外新も、生活基盤である本件土地及び本件建物からの退去を回避するための交渉を行っていた。

したがって、原告も、右交渉については、相談を受けていたはずであり、本件土地における原告の持分が担保に提供されていることを前提としていたはずである。

(二) 原告の認否及び反論

(1)  前記(一)、(1) 及び(2) の各事実は、知らない。

(2)  前記(一)、(3) の事実のうち、訴外正司が訴外新を相手として、訴えを提起したこと、右訴訟が、訴外新が訴外正司に対し、金一二〇万円を支払い、訴外新は、訴外正司から本件建物の持分の移転登記手続を受けることとなり、取下により終了したことは認める。

しかし、右訴訟係属当時、訴外新と訴外正司の親子関係は、完全に破綻しており、機械の特許をめぐり熾烈な敵対関係にさえあったため、訴外新は、本件訴訟係属まで、原告に対し、訴外正司との関係について何ら説明しなかったことから、訴外正司との間で本件建物の根抵当権をめぐって訴訟が係属していたことを知らなかった。

(3)  前記(一)、(4) の事実は、知らない。

3  本件土地における原告の持分に設定された根抵当権は、信義則上、無効となるか。

第三争点に対する判断

一  争点1について

1  本件根抵当権設定契約の成立を証すべき証拠として、「根抵当権設定契約書」と題する書面(甲第二号証、乙第一号証)があり、その「根抵当権設定者」欄には訴外新の住所及び氏名の記載並びに訴外新名下の印影があり、その真下に、手書きにより「住所」と記載された右横に訴外新の住所と同一の住所の記載がなされ、同様に手書きにより「根抵当権設定者」と記載された右横に原告の氏名が記載され、原告名下の印影があること、同様に、右根抵当権設定者欄の左斜め上に、手書きにより「住所」と記載された右横に訴外新の住所と同一の住所の記載がなされ、同様に手書きにより「根抵当権設定者」と記載された右横に訴外正司の氏名が記載されており、訴外正司名下の印影があることを看取することができる。

2  しかしながら、右原告の氏名が原告の自署によるものであることを直接証すべき証拠はない。かえって、右住所及び氏名の各記載を対照すると、いずれも同一人の筆跡によるものであることが窺えるところ、証人一郡新は、訴外新が右「根抵当権設定者」欄の自己の住所及び氏名だけでなく、右原告及び訴外正司の住所及び氏名を原告及び訴外正司には無断で記入した旨証言し(甲第五号証にも同趣旨の記載がある。)、原告も、その本人尋問において、右原告の住所及び氏名の記載は、原告の自署によるものであることを否定する旨の供述をするところであり(甲第三号証にも同趣旨の記載がある。)、さらに、原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、原告の自署によるものであると認められる甲第三号証における原告の氏名の記載とは異なる筆跡であることが認められる。

また、甲第八号証には、甲第二号証及び乙第一号証と同一の筆跡による原告の氏名及び住所の記載がなされていることが認められるが、証人一郡新は、訴外新が甲第八号証における原告の氏名も原告に無断で記入した旨証言し(甲第五号証においても同趣旨の記載がある。)、原告も、その本人尋問において、甲第八号証における原告の氏名は、原告の自署によるものではない旨供述する(甲第三号証においても同趣旨の記載がある。)ところであり、これらの事情に照らすと、甲第八号証の原告の氏名の記載と甲第二号証ないし乙第一号証の原告の氏名の記載を対照して甲第二号証ないし乙第一号証の成立を認めることはできない。

3  さらに、甲第二号証ないし乙第一号証における原告名下の印影が原告の印章によるものであることは、当事者間に争いがない。

(一) しかしながら、証人一郡新は、訴外新が原告に無断で持ち出した原告の印章により甲第二号証ないし乙第一号証における原告名下に押印したものである旨証言し(甲第五号証にも同趣旨の記載がある。)、原告もその本人尋問において、訴外新が原告に無断で原告の右印章(実印)を持ち出し、押印したものである旨供述する(甲第三号証にも同趣旨の記載がある。)ところである。

しかも、甲第三号証、第五号証、第七号証、証人一郡新の証言、原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、<1>原告は、訴外新の妻であり、昭和六二年一二月二五日当時、原告と訴外新は、同居していたこと、<2>訴外新は、昭和六二年一二月二五日当時、訴外日本プスネスの代表取締役の地位にあったが、ほかに、訴外ロルフ・タラルドセンも同様に代表取締役の地位にあり、また、訴外新は、訴外日本プスネスの発行済株式総数のうち約一〇パーセントの株式を保有していただけであったこと、<3>原告は、訴外日本プスネスの株式を有しておらず、訴外新の妻であるということのほかに、訴外日本プスネスと関係はなかったこと、<4>原告は、右印章を仏壇の中に保管していたこと、<5>訴外新は、原告の右印章の保管場所を知っていたこと等の各事実が認められる。

さらに、仮に、原告が夫である訴外新に協力するため、本件土地における原告の持分に根抵当権を設定することを了承していたとすれば、訴外新が原告に署名を求めることが容易にできたにもかかわらず、前記2に認定したとおり、原告は、前記契約書に自署していない。

以上の諸事情をあわせ考慮すると、訴外新が原告の印章を原告に無断で持ち出して、甲第二号証ないし乙第一号証に押印したものである可能性を否定することができないから、右印影が原告の意思に基づいて顕出されたものと推認することはできず、ほかにこれを認めるに足りる証拠もない。

(二) なお、証人一郡新は、本件根抵当権設定契約の締結に先立ち、原告に相談しなかったのは、それまでの不行跡のため原告から一切信用されていなかったからである旨証言し、原告も、その本人尋問において、仮に、訴外新から本件土地の原告の持分に根抵当権を設定することについて相談を受けていたとしても、拒否したはずである旨供述する一方で、原告は、<1>原告及び訴外新は、昭和五六年一二月一八日、本件土地を購入した際、原告は、本件土地の売買契約の締結手続や原告の持分割合をいくらにするかということについては、訴外新に任せていたこと、<2>本件建物は、昭和五七年八月、新築されたが、原告は、その際の建築資金を捻出するために、本件土地について抵当権を設定することについても訴外新に任せていた旨供述している。

しかし、原告本人尋問の結果によれば、原告及び訴外新は、自宅を新築するという意思を有していたことから、原告は、訴外新に一切の手続を任せていたことが認められるのであって、本件のように、訴外日本プスネスに対して担保提供するということとは差異があっても不自然であるというわけでもなく、また、原告は、本人尋問において、本件根抵当権設定契約が締結された当時、原告と訴外新との夫婦関係は、訴外新の奔放な女性関係等により決して円満ではなく、訴外新が訴外正司を告訴し、訴外正司が逮捕、勾留されるに至ったことが決定的となって現在は、家庭内別居の状態である旨供述しており、かかる供述を前提とすれば、原告と訴外新の夫婦関係の破綻が決定的になったのは、本件根抵当権設定契約が締結された後のことであるが、その当時から既に円満な夫婦関係ではなかったというのであるから、本件土地の購入時あるいは本件建物の新築時に原告が訴外新に資金の工面等について一切任せていたからといって、本件根抵当権設定契約を締結するに際しても、訴外新が原告に相談しなかったことが不自然であるということに直ちに繋がらない。

(三) また、甲第一一号証、証人一郡新の証言、原告本人尋問の結果によれば、<1>原告及び訴外新は、本件土地上の本件建物に同居しているところ、被告は、本件土地及び本件建物について、抵当権の実行としての競売を申し立て、東京地方裁判所において、平成一一年六月二三日、本件土地について競売開始決定がなされたこと、<2>原告は、訴外新を告訴する手続はとっていないことの各事実が認められ、<3>原告が本件訴えを提起したのは、平成一一年一一月一七日であったことは、当裁判所に顕著な事実であるが、<1>及び<2>の事実については、原告は、本人尋問において、そもそも本件土地の原告の持分まで担保に供されていること自体を知らず、平成一一年七月、執行官が自宅に訪れた際に、初めて本件土地の競売手続が進行していることを知った旨供述しており、かかる供述を前提とすれば、本件訴えの提起が本件土地の競売手続の後になってなされたことも不自然なことではないこと、<3>についても、原告は、その本人尋問において、原告訴訟代理人である渡邉弁護士に直ちに相談したが、告訴ということは思いあたらなかった旨供述するところであり、格別不自然なところもないことからすると、右各事実は、前記認定を左右しない。

4  以上によれば、甲第二号証ないし乙第一号証の成立を認めることはできない。

二  争点2について

1(一)  甲第五号証、第一〇号証、第一五号証、乙第三号証、証人一郡新の証言、弁論の全趣旨によれば、以下の各事実が認められる。

(1)  本件根抵当権設定契約が締結された当時、訴外日本プスネスの業績は、年間約五〇〇〇万円ないし六〇〇〇万円の利益を上げており、安定していた。

(2)  訴外正司は、平成四年一二月、被告を相手として、本件と同様に、本件建物に設定された根抵当権設定登記を訴外新の共有持分に対する根抵当権設定登記への更正登記手続を求める訴え(東京地方裁判所平成四年(ワ)第二二一七七号事件)を提起したことから、訴外新は、訴外正司を相手として、本件建物における訴外正司の持分権移転登記手続を求める訴え(東京地方裁判所平成五年(ワ)第三三五四号事件)を提起した。

右両事件は、結局、訴外新が訴外正司に対して、金一二〇万円を支払い、他方、訴外正司は、訴外新に対して、本件建物の持分権を移転するということで決着した。

(3)  訴外新は、訴外日本プスネスの会社更生手続開始により事業管財人となった訴外日立造船との間で、訴外日立造船が本件土地及び本件建物を購入し、訴外新ら家族を引き続き居住させる旨の交渉をし、訴外日立造船との間でその旨の覚書を取り交わした。

(二)  原告が本件訴えを提起したのは、平成一一年一一月一七日であったことは、当裁判所に顕著な事実であり、前記一、3、(三)に認定したとおり、原告及び訴外新が居住している本件土地及び本件建物について競売開始決定がなされたのが平成一一年六月二三日であるから、本件訴えは、本件土地及び本件建物について競売手続が開始された直後になされたこととなる。

2  しかしながら、原告が訴外正司及び被告並びに訴外正司及び訴外新間の訴訟係属当時、訴外正司が被告や訴外新と訴訟をしており、訴外正司が右訴訟において、本件建物における訴外正司の持分に訴外新が無断で根抵当権を設定した旨主張していたことを知っていたことを認めるに足りる証拠はなく、また、原告が、訴外新と訴外日立造船との間で前記1、(一)、(3) のような交渉がされていたことを知っていたことを認めるに足りる証拠はなく、かえって、原告は、その本人尋問において、訴外正司が逮捕された後、訴外正司とは交流がなく、そのため、訴外新及び訴外正司間で右のような訴訟が係属していたことについてを訴外正司から聞かされたこともなく、結局、原告が本件土地の原告の持分に被告のために根抵当権が設定されていることを知ったのは、本件土地の競売手続として執行官が自宅を訪れたときが初めてであった旨供述し、甲第一五号証(訴外正司の陳述書)にも同趣旨の記載があり、証人一郡新も同趣旨の証言をするところである。

したがって、原告が、訴外新及び訴外正司間ないし訴外正司及び被告間で右のような訴訟が係属していた当時も訴外新が訴外日立造船と右のような交渉がなされていたときも、本件土地に被告のために根抵当権が設定されていることを認識していたとは認められない以上、原告が本件訴えを提起するまで、本件土地における原告の持分に被告のために根抵当権が設定されていることを知りつつ放置したとの評価をすることはできず、原告が本件根抵当権設定契約を事後的、黙示的に追認したとまでは言えない。

三  以上のとおりであるから、争点3について検討するまでもなく、原告の請求は、理由がなく、棄却を免れない。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 片山憲一)

物件目録一

所在 中野区鷺宮一丁目

地番 二〇番三七

地目 宅地

地積 一一五・七二平方メートル

物件目録二

所在 中野区鷺宮一丁目二〇番地三七

家屋番号 二〇番三七

種類 居宅

構造 木造スレート葺二階建

地積 一階 五五・〇六平方メートル

二階 五六・七二平方メートル

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